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    エイリアン船外放出シーンの謎

    ジェリー・ゴールドスミスのリジェクトされたサウンドトラックを完全復活させる「エイリアン・ホワイトドラゴンカット」プロジェクト

    前回の記事で、ゴールドスミスの書いたノストロモ号着陸シーンのサウンドトラック・スコアが映画の該当シーンより1分以上長い謎について書きました。この謎については、ノストロモ号着陸シーンは劇場公開版よりも本来は1分以上長かったのではないかという推測をしています。事の真相は今後未公開シーンを調べることで判明すると思います。

    さて、ゴールドスミスのサウンドトラックにはもう一つ謎があります。
    それは映画公開時に発売されたLPに収録されている「Break Out(脱出)」という曲についてです。

    公式には、この曲は映画のラストでリプリーがエイリアンを船外放出するシーン用に作られたものの、リドリー・スコットの要望によりボツとなり、ゴールドスミスは新たに本シーン用に別の曲「Out The Door」を作曲したとなっています。
    2007年に発売されたエイリアンの完全版サウンドトラックCDのライナーノートでも、「Break Out」は「Out The Door」と曲名を変えて記載され、「Out The Door」は「「Out The Door – Rescored Alternate」」と記載されています。
    また、ゴールドスミスのリジェクトされたサウンドトラックを実際のシーンに重ねて視聴出来る特典付きのDVDでも、「Break Out」は船外放出シーンのサウンドトラックとして扱われています。

    Break Out (Out The Door)

    Out The Door (Out The Door – Rescored Alternate)

    しかし、僕はこれは間違いではないかと思っています。僕の見解は次のような感じです。

    • 「Break Out」はエイリアンの船外放出シーン用に作られた曲ではなく、別のシーン用に作られた曲だった。
    • 「Out The Door」は「Break Out」の代替曲ではなく、作曲初期の段階で船外放出シーン用に作られていた。

    理由は次のとおりです。

    • 「Break Out(脱出)」という曲名が、船外放出シーンと合っていない。
    • 「Break Out」のランニングタイムが船外放出シーンの長さより1分以上長い。
    • 「Out The Door」はリドリー・スコットの要望によりゴールドスミスが作り直した他の曲に比べ曲風があまりにも違いすぎ、むしろ初期段階の曲風に似ている。

    ここからは、上記見解が正しいと仮定して話をすすめます。

    そもそも「Break Out」は本来どのシーン用に作られた曲だったのか?
    曲のタイトルから、リプリーが脱出艇ナルキッソス号に乗り込みノストロモ号から離脱するシーンではないかと推測しました。
    そこでリプリーがナルキッソス号のハッチを占めるシーンから「Break Out」を流してみると、ノストロモ号爆発シーンまでの長さと曲の尺がピタリと合うことが分かりました。場面展開と曲の流れも完全に合致します。

    これは驚きでした。もうこれで間違いないのではないか。
    という訳で、「エイリアン・ホワイトドラゴンカット」はこれで行きます。
    早速テスト版を作ってみました。

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