ブレードランナー・ホワイトドラゴンカットのコンセプトの一つが「入手できる全ての未公開シーンを組み込む」という事なんですが、実はこれがなかなか難しいんです。
というのも同じシーンを別のアングルから撮影したカットが複数存在した場合、どうしてもいくつかのカットはボツにせざるを得ないからです。ブレードランナーにマルチ画面なんてあり得ないですからね。(ちなみに、映画「アンドロメダ」や「合衆国最後の日」ではマルチ画面が効果的に使われていました。)
また、組み込むカットがイマジナリー・ライン(対話者同士を結ぶ線。編集する際、このイマジナリー・ラインを超えた編集をすると人物の位置関係が分かりづらくなる)を超えてしまう場合もあり、この場合も使用できません。
さて、今回編集したのは「エモーショナル・レスポンス」です。映画の冒頭でホールデンがレオンを「フォークト-カンプフ検査」にかけるシーンですね。実は、本シーンにも前バージョン(ホワイトドラゴンカット4)では組み込む事が出来なかったカットがいくつか存在します。
①コーヒーを飲むホールデン
②部屋に入るレオン
③撃たれるホールデン
3つとも同じシーンを捉えた別アングルのカットがあるためボツとなったものです。
でね、ホワイトドラゴンカット5では何とか2つめと3つめのカットを組み込みましたよ。しかも映画の流れを阻害していないと思います。
<ブレードランナー・ホワイトドラゴンカット5 | エモーショナル・レスポンス