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    スピナーをトランスフォームさせろ!パート3

    ポリス・スピナーの走行形態から飛行形態へのトランスフォームの完全再現計画、今回は第三回目です。

    突きつけられた現実、リトラクタブル・ライトはリトラクトしない?

    前回までに前輪の格納とタイヤカバーの移動ギミックは作成を完了しました。今回はフロントライトの格納に挑みます。

    ポリス・スピナーのタイヤカバーの上にフロント・ライトが設置されている。

    実は僕は、フロント・ライトは飛行形態ではホイールカバーに格納されるリトラクタブル・ライトという設定だと勝手に思い込んでました。しかし実際にはフロント・ライトを格納した状態のポリススピナーは映画に登場しません。

    映画に登場する飛行形態のポリス・スピナー。フロント・ライトは格納されていない。

    では、なぜ僕はフロント・ライトが飛行時に格納されるという勘違いをしていたのか?
    勘違いの原因はシド・ミードのプロダクションスケッチにあったのでした。

    シド・ミードの描いたポリス・スピナー

    ご覧の通り、シド・ミードの描いたスピナーにはそもそもフロント・ライトがないのです。僕はこのイメージからライトは飛行時にはタイヤカバーに格納されると思い込んでいたようです。

    新たな考察、リトラクタブルライトはリトラクトする?

    しかしここに興味の湧く考察があります。それは2017年に日本で出版された「ブレードランナー究極読本」に掲載された記事「スピナー大研究!」にあるフロント・ライトに関する記述です。

    「ブレードランナー究極読本」のフロントライトについての記述

    ここには「レーザータイプのプロップにはこのライトが収納状態になっているミニチュアが存在する」と書かれています。
    「レーザータイプ」のスピナーとは、デッカードとガフが乗るポリス・スピナーとは別の、シド・ミードのプロダクションスケッチに可能な限り近づけて作られたスピナーのことです。このレーザータイプのスピナーにはフロント・ライトが収納状態になっているミニチュアが存在するというのです。
    このレーザースピナーは映画ではデッカードがタイレルピラミッドを訪れるシーンでワンカットだけ登場します。

    映画に登場するレーザースピナー
    上記シーンに使われたレーザースピナーのミニチュア

    写真を見てわかる通り、ライトはタイヤカバーに格納されています。
    つまりフロント・ライトはリトラクタブル・ライトだったのです。

    新たな問題、リトラクタブル・ライトはリトラクト出来ない?

    フロント・ライトはリトラクタブルタイプだということが判明し、いよいよライト格納のギミック作成に入ります。
    ところがここで新たな問題が発生しました。走行形態の状態でライトを格納しようとするとライトがフェンダーと干渉して格納できないんです。

    走行形態だとライトがフェンダーと干渉し格納できない。

    また、飛行形態の状態で格納する場合もフェンダー内に収納したタイヤと干渉することが判明しました。
    どうするか考えあぐねていたのですが、実はスピナーを格好良く見せるためにタイヤの太さを設定より太めにしていた事を思い出しました。そこでタイヤの太さを設定通りのものに修正してみたところライトを収納できるスペースが生まれました。

    飛行形態だとライトを格納できるスペースが確保できる。

    また、映画に登場するスピナーは飛行形態でライトを出しています。よって飛行形態でライトを出したり格納したりするという設定が理にかなってもいます。
    ホワイトドラゴンカット5では、スピナーが飛行形態に移行した後にフロント・ライトをホイールカバーに格納することとしました。

    ギア?それともジャッキ?

    さて、最後の考察はリトラクタブル・ライトの格納方法についてです。
    僕が考えたのはギアを使う方式とジャッキを使う方式の2種類です。
    ギミックとしてはジャッキ方式の方が動きが複雑で興味深いのですが、ジャッキを組み込むスペースを確保することが出来ませんでした。
    ギアの場合はギアそのものをライトの中に設置することでスペースをほとんど使わずに設置出来ます。
    ということでライトの格納方法についてはギアを使ってライトをスライドさせる方法としました。

    フロントライトの中に組み込まれたギア・システム

    結局は何も見えない

    上記の設定をベースにポリス・スピナーの3Dモデルにライト格納のギミックを組み込んでみました。

    仕上がりにはすごく満足していますが、ライト格納のためのシステムはタイヤカバーに埋め込まれるため全く見えません。
    「いったい俺は何をやっているんだ?」と思うこともあるんですが、結果が見えないからこそ心地よいというマゾヒズム的な快感を味わいながら、次の段階に進むことにします。
    次は後部バンパーと噴射口のトランスフォームです。

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