今回はシーン10「生命維持装置のホールデン」
今回はシーン10「生命維持装置のホールデン」です。
本シーンは、オリジナル版ではカットされたシーンで、レオンに撃たれて生命維持装置に繋がれているホールデンをデッカードが見舞うシーンです。
本シーンはブレードランナーのDVDやBru-Rayの特典ディスクに既に編集された状態で収録されています。したがって、敢えて編集し直す必要はないのですが「ホワイトドラゴンカット5」では以下の変更を加えています。
- ホールデンのセリフを変更
ホールデンのセリフ「10日前、タイレル社のセキュリティーが3匹の侵入者を記録室で見つけた。そのうち1匹が死亡、2匹が逃亡」を「10日前、タイレル社のセキュリティーが3匹の侵入者を記録室で見つけた。そのうち2匹が死亡、1匹が逃亡」に変更しました。 - スピナーの飛行シーンを追加
LAPDから病院へ移動するデッカードを表すために、本シーンの冒頭にスピナーの飛行シーンを追加しました。 - 未使用カットを追加
未使用のカットを2カット追加しました。 - サウンドトラックを追加
本シーンの前のシーン「レプリカント・イン・クエスチョン」から本シーンへスムーズに繋げるために、本シーンの前半にサウンドトラックを追加しました。 - 色調整の実施
映画全体の色調に合わせて色調整を行ないました。 - ほこり・傷・ノイズの除去
フィルムに残っているほこり、傷やノイズを除去しました。
タイレル社で回収されたレプリカントは2人?それとも1人?
ホールデンのセリフの変更について詳しく書きます。
ホールデンは本シーンでタイレル社に押し入ったレプリカントについて「タイレル社のセキュリティーが3匹の侵入者を記録室で見つけた。そのうち1匹が死亡、2匹が逃亡」とデッカードに説明します。
しかし、本シーンの前のシーン「レプリカント・イン・クエスチョン」では、ブライアントがデッカードに「6匹がオフワールドコロニーから脱走し、そのうち2匹が電気フィールドでフライになった」と言っています。
死亡したレプリカントの数がホールデンの台詞とブライアントの台詞で食い違うわけです。
ブライアントが言う様に、脱走したレプリカントが6人ならば現在生き残っているロイ、プリス、レオン、ゾーラの4人を差し引いた2人が死亡した人数と言うことになります。
ということは、ブライアントのセリフが正しく、ホールデンのセリフが間違いということになります。
なぜこの様な数の矛盾が生じたのかはブレードランナー・ファンの間では有名な話です。
理由は当初の案では生き残るレプリカントが4人ではなく5人だったからです。生き残るレプリカントが5人ならホールデンのセリフ「1匹が死亡」が正しいということになります。
実はブライアントの台詞「2匹が電気フィールドでフライになった」もファイナルカットで修正された台詞で、それより前のバージョンでは「1匹が電気フィールドでフライになった」となっていました。
予算と時間の関係でレプリカントの数が1人減った後も、2人の台詞は修正されないままになっていたというわけです。
また、タイレル社に押し入った人数についてはブライアントは言及していません。ホールデンは「3匹」と言っています。
よって「6人が脱走し、そのうち3人がタイレル社に押し入り、その際2人が死亡」ということになります。
さて、前述の様にブライアントの台詞はファイナルカットで修正されました。ホワイトドラゴンカット5ではホールデンの台詞を修正し、レプリカントの数の矛盾を解決しておきます。
ブレードランナー・ファンのあなたは、隠し編集カットがどれか分かるか?
さて、上記の変更以外に、こだわって編集した箇所が一ヶ所あります。しかし、どのカットかは敢えて書かないでおきます。ブレードランナー・ファンのあなたならきっと分かるはず。ぜひ探してみてください。
〈シーン10 生命維持装置のホールデン〉
ちなみに、シーン8「オールド・ブレードランナー・マジック」にも、ブログには書いていない隠し編集カットがあります。
こちらも宜しければ探してみてくださいね。